第一章 マラニャオン州
マラニャオン州について... 4月28日〜8月6日、10月5日〜10月9日
ブラジル北東部の州で大西洋に面する乾燥地帯である。北西をグールピー川、南西をトカンティンス川が州境を形成し、面積は329,556平方キロメートル、人口は492.2万人(1991年現在)である。
州都はサンルイスでパラ州の州都ベレンから806km、セアラ州の州都フォルタレーザからは1,070km、人口約63万人である。
サンルイスはブラジルで唯一フランス人によって築かれた町で、ルイ13世にちなんで名付けられた。フランス人は先住民族を征服していったが、フランス本国政府から十分な援助が得られず1615年にはポルトガルに追われる。一時オランダの支配下に置かれたこともあるが、奴隷制の導入やインドからの移民労働力に助けられて大がかりなプランテーションが発達し、砂糖や綿花の輸入港として繁栄した。しかし19世紀には産業の衰退に伴って、栄光も次第に下降線をたどることになる。
20世紀後半、近代都市としてのサンルイスは世界最大のカラジャス鉄鉱山の輸入港としての役割を持ち、沿岸での石油の発見、ミサイル基地の建設や巨大なアルミニウム工場の建設などで注目を浴び急速に開発が進んでいる。
マラニャオン州にはサンルイスのほか、コドー、バカバウ、カシアスなどの町があり、私が行ったペドレイラスというところは5番目に大きい町である。日系人はほとんどいなく、混血が多いのが特徴だ。
今回のマラニャオン州の旅のキーワードを二つ紹介する。一つは私の受け入れを全面的にバックアップしていただいた協会ASSEMA(アッセマ)、もう一つはこの地域の人々を支える作物の一つババスヤシである。ASSEMAについて...
ASSEMA(Associacao em Areas de Assentamento no Estado do Maranhao:マラニャオン入植生産者協会 1989年設立。私が日本での窓口にしたNGOに紹介していただいた、ブラジル側の窓口団体である。小農民の自助機関として技術指導などを行っている。4つの行政郡から成り立っており、それはラゴドジュンコ郡、エスペランチーノポリス郡、リマカンポス郡、ペドレイラス郡である。ペドレイラスに事務所があり、総会で選ばれた12名の執行員が働いている。
ババスヤシについて...
ババスヤシはヤシの一種で特にブラジル、マラニャオン州で多く自生している。実は10cm程で外側から59%が皮、11%が殻、23%が粉、7%が種である。一つの実に種が3〜5個入っていてこれからオイルを採る。このオイルは食用油や石鹸に利用され、搾りカスは家畜の飼料になる。皮と殻は良質の炭(カーボン)になったり、繊維を取り出して紙作りに利用する。さらに粉は栄養補給食品として注目されている。このようにババスヤシのすべては何らかの形で利用でき(実だけでなくババスヤシの木は民芸品などに使われる)、人々の生活に欠かせないものとなっている。ブラジルの最低賃金(120レアル/一ヶ月=1万4000円くらい)で暮らす人たちの中にはその内の7割以上がババスヤシによる収入という人も少なくない。ババスヤシはそういう人たちの重要な収入源である。